告白

告白

苦しい。どうしようもない極道者の熊太郎のどうしようもない行動を支えるどうしようもない思考が真人間ではないけれど極道者でもないはずの自分の身につまされて苦しい。どうしようもない行動を笑いながら読めるが、その行動に至る思考のうずまきとそれを言葉に昇華することができないが故であることを事細かに著されるのが苦しい。安政四年、河内国石川郡赤阪村水分の百姓の長男として生まれ気弱で鈍臭い子供であった熊太郎が、後に河内音頭の「河内十人斬り」として歌われるような行動を犯すような極道者になったのか、それはまさに気弱で鈍臭いが故であるのだが、600ページ超をかけて熊太郎の人生を追体験しその最期に「本当の本当の本当のところの自分の思いを自分の心の奥底に探った」結果が苦しすぎる。
大傑作です。分厚いけど読むべし。苦しいけど読むべし。