「みんなの意見」は案外正しい
- 作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/31
- メディア: 単行本
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「集団知(Wisdom of Crowds)」というものがあるのです。一人のエリートの考えよりもみんなの意見を集合させた方が賢くなるという。いわゆる「三人寄れば文殊の知恵」ですか。
- 必要なもの
- 多様性
- 各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている
- 独立性
- 他人の考えに左右されない
- 分散性
- 身近な情報に特化しそれを利用できる
- 集約性
- 集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在
こうしてみると、「三人寄れば文殊の知恵」を起こす条件は大変。でも少なくとも自分が集団の中にいるときはこれを心に刻んでおこう。
- 適用できる問題
- 認知
- どこかの時点で必ず明快な答えが存在する(ex:モノの重さ当てゲーム)
- 調整
- 集団のメンバーが同じような行動をとる中、そのメンバーとやり取りをする(ex:市場、渋滞)
- 協調
- 赤の他人同士が一丸となって何かに取り組む(ex:税負担、環境問題)
面白かったのは協調の部分で、「他人への信頼」は「将来の重み」から生まれるという。で、ここには親切、寛容、報復が必要であると。あ、書いてて気づいた。こりゃ繰り返し囚人のジレンマゲームだ。実際もそうだったということかな。
結論として「三人寄れば文殊の知恵」を起こすことは可能。ただいろいろ考えないとすぐに「船頭多くして船山に登る」になるぞと。
ただ集団として得られた解が最適だとしても、個々人の解はとんでもないこともある。というかとんでもないものがないのはおかしい。でも、個々人の出した解で不利益が起きるとき、集団全体での解から得た利益を使ってその不利益を少しでも補填してやらないと、集団の持続に影響があると思うのです。個人-個人の関係性だけでなく、個人-集団の関係性も考えてやらないといけない気がします。