旧札幌市西区

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鏡の国のアリス

鏡の国のアリス (集英社文庫 141-D)

鏡の国のアリス (集英社文庫 141-D)

表題作の長編と短編が3つ。
表題作。鏡に写った像はなぜ左右だけ逆になって上下は逆にならないのか?左右反対の世界に迷い込んだ青年のお話。
ストーリーはスイカ、SF考証が塩。甘みが増すのです。スイカは糖度高。塩は天然モノ。
短編のうち2つは手塚治虫やら星新一風味。
短編「遊覧バスは何を見た」が良いなぁ。1925年の東京遊覧バスがめぐり合わせた2つの家族、その家族同士の交流を1937年,1945年,1970年,1980年の東京の町並みを描きながら語っていく*1
その時どきの庶民の描き方が素晴らしい。


この作者、広瀬正の「マイナス・ゼロ (集英社文庫 141-A)」が大好きなのです。作品の中でのタイムマシンの用い方、昭和初期の描写が「楽しい」んです。タイムパラドックスの扱いなんかはやっぱりSF作家だなぁと感じたり。
タイムパラドックス」と言う言葉にえもいわれぬものを感じてしまう人、オススメです。
マイナス・ゼロ、再読したい。

*1:作者は72年に亡くなっている。