旧札幌市西区

http://d.hatena.ne.jp/kei-s/ だったもの

3冊くらい

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

アニメ化するらしいですね.

温暖化が進んで森林に覆われた東京.
中心に突き出た超高層巨大建造物.
炭素の排出量取引が経済を廻す世界.
巨大なブーメランを操る反政府ゲリラの総統の女の子.
炭素経済を撹乱する予測システム.

ビビッドな設定がこれでもかってくらい詰め込まれてる.
正直,文章はあまり洗練されてない印象だし,展開の行き当たりばったりさもあるけど,これらの設定を詰め込み,軽く破綻しかけながらも読ませるのは凄い.
解説の筒井康隆が,次作のテンペストばっかり誉めてるのもいいです.
追記
エウレカセブンのアニメーターの人が書いた挿絵がありました.いいすね.
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覇者と覇者  歓喜、慙愧、紙吹雪

覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

id:kei-s:20070309:1173461552 の最終巻.
最終巻のみ上下じゃないのは,作者の打海文三さんが執筆中に亡くなってしまったから.
そんなわけで,ぶった切られて終わります.「(未完)」で終わるのはやりきれないです.

主人公たちが生きてきたドロドロの内戦の終結をしっかり描こうとしている.なのでなおさら未完なのが惜しまれます.ホントにあと少しなのに.
やっぱり登場人物がそれぞれ面白い.主人公の海人,椿子が大人になり戦争の中で大きな役割を担うにつれ,戦術から戦略へ視点が移る.そんな中でも,組織に順ずる海人と快楽に酔う椿子がそれぞれの思いで突き進んでいく.

良いです.続きが読めないのが本当に寂しい.

何かの記事で知ってから,本屋で立ち読みしたら面白くて面白くて,買ってからぐいぐい読まされました.

もともとジャズはそんなに詳しくないんだけど,映像作品を経由して,コルトレーンの「Giant Steps」とか,著者の菊池成孔のバンド Date Course Pentagon Royal Garden の「構造I」は好きだったです.同じアルバムの「構造V」はかなりカッコいい.
Michal Levy » Giant Steps
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なんていうか,読み物として面白すぎます.語り口も(編集の賜物らしいけど)軽妙で,アメリカ近代史,音楽理論,人種民族の身体性なんてのが軽々と混ぜ合わさって,ガンガン読み進められちゃいます.
で,音楽に関する本だから紹介されている音楽を実際に聴かないと魅力も半減なんですが,Youtubeのある現代は恐ろしいですね.こんなに手軽で大丈夫なんだろうかと不安になるくらい.
歴史編は,アメリカにおけるブルースの立ち上がりからビバップ,ハード・バップを経てモダン・ジャズの隆盛と終焉まで.キーワード編は,「ブルース」「ダンス」「即興」「新しい音楽理論」の4つからそれぞれ潜っていく.「ダンス」の講義では,アシッド・ジャズデトロイト・テクノの視点もあったりで楽しめました.
ただ,楽譜が読めない楽理がわからないだったので,このあたり分かるともっと楽しめるんだろうなぁ.とか.