旧札幌市西区

http://d.hatena.ne.jp/kei-s/ だったもの

Disco★Wednesdayyy

ディスコ探偵水曜日〈上〉

ディスコ探偵水曜日〈上〉

ディスコ探偵水曜日〈下〉

ディスコ探偵水曜日〈下〉

さあさあ舞城です.分厚いのが上下巻ですよ.
ちょっと冒頭がかっこいいので長いけど引用.

 今とここで表す現在地点がどこでもない場所になる英語の国で生まれた俺はディスコ水曜日。Disとcoが並んだファーストネームもどうかと思うがウェンズディのyが三つ重なるせいで友達がみんなカウボーイの「イィィィィハ!」みたいに語尾を甲高く「ウェンズでE!」といなないてぷふーふ笑うもんだから俺は…いろいろあって、風が吹いたら桶屋が儲かる的に迷子探し専門の探偵になる。俺のキャディラックのボディには俺の名前と事務所の住所と電話番号の上に『ベイビー、あんたが探してんのは結局あんた自身なのよ』って書いてある。

このディスコ・ウェンズディ,踊場水太郎がなんだかんだで不可思議不可解な事件に巻き込まれ,自分の意志と運命とでダンスする.
舞城のは毎作テーマが決まっている(と思っている)のだけど,今回のテーマはわかりやすいほど,これ.

この世の出来事は全部運命と意志の相互作用で生まれるんだって、知ってる?

そう,意志の力は出来事を動かし,他人の意志は運命となって翻弄する.
ディスコ・ウェンズディはたぐいまれな特殊能力を持っているわけでなし,ぐだぐだ悩んで行動しない.でも,その意志と運命は行動となり世界をぐるりと変化させる.その意志は自分のためでなく「隣の迷子」を思う気持ちなんだ.

かなり長いうえに過去作(特に九十九十九 (講談社文庫))からの出典が多いので,舞城王太郎ファンは読むべきだけどファンはもう読んでるだろうな.
んでも,ここまでの舞城の集大成としていろんな要素が詰まってる.自分と隣の人と世界のなかでどう志向して生きるのか.

ちょっと深いっすよ.と軽い感じで言ってみる.

追記

既読の人用に思ったことを.
水星Cてのはどういう役割だったんだろう.主人公の分身としては役が大きすぎる気がする.この物語のなかに水星Cを出さざるを得ない「なにか」は重要なファクターだと思う.