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グーグル・アマゾン化する社会

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

&関係のあったりなかったりの話。
このところ小説ばかり読んでいたのでバランス。
テーマは「Webによる一極集中」。数多あるいわゆるGoogle本の中では、スケールフリーネットワークに1章割いているのが特徴*1
1〜4章は具体的な数字などデータ元として。5章は上のとおり。6,7章が面白い。
個人的に言うと、6章「個人への一極集中 - タグとパーソナライゼーション」が大事。
あなたへ情報を届けるとき、「あなたに適した情報」を「あなたに適した時」に「あなたに適した量」だけ「あなたに適した届け方」で届けたい、受け取りたい。これがパーソナライゼーション(と考える)。
では、

  1. 「あなたに適した情報」を全世界に溢れる情報からどうやって選別するか、どのように生み出すか。あなたが欲しいと思うものはどういうものか。何を使って判定するか。
  2. 「あなたに適した時」をあなたの人生の中からどのように見つけるか。わたしはその時を逃さずに届けられるか。どんな時に受け取ってもらえるか。
  3. 「あなたに適した量」はどのくらいか。あなたはどのくらい受け入れられるのか。わたしはどのくらい届けられるのか。
  4. 「あなたに適した届け方」はどのようなものか。どの感覚に訴えて届けるか。届け方を間違って気づいてもらえない、あなたの邪魔をしてしまい受け取ってもらえないことはないか。

問題の整理、切り分けとしてはこのくらいかな。パーソナライゼーションに限らずGoogle検索に当てはめてみると、

  1. あなたが欲しいというものを、キーワードにしてもらって、それを含んだ情報を選別する。
  2. 欲しいと思ったとき、検索をしてくれたときに、できるだけ短い時間で届けてあげる。
  3. PageRankという方法でランク付けし、高い方から好きなだけ見てもらう。見たかったら世界中から集めた膨大な量を見せてあげる。
  4. シンプルなWebページとして届けてあげる。この場合「欲しい!」って言ってくれてるから、あんまり心配しないでも受け取ってくれる。

となる。
二つ目以降のは今のところあまり問題になっていないかも*2。一つ目のが一番重要で、(今現在の)パーソナライゼーションでは受け取る情報が一極集中してしまうと。「あなたが欲しい(と言っている(とわたしが思っている))情報」だけを届けていたら、肉ばっか食べて太ってしまうよ、たまには野菜も食べなさい、にんじんバーグにしてあげるから、ということか。なんだそれは。
で、これとねじれの位置にあるのが「思いがけないものの発見(セレンディピティ*3)」。なんでねじれているかというと、「あなたに適した(とあなたは思ってもみなかった(とわたしは思っている))情報」を「あなたに適した(とあなたは思ってもみなかった(とわたしは思っている))時」に届けるということだから。まわりくどい。こんなことできるのか?特に2つ目のは結構無茶じゃないか?
じゃ、どうすればいいか。
多分、「思いがけないものの発見」は、わたしは届けられない。でも、あきらめるのも癪なので、「届くかもしれない場所」を作って、あなたに発見してもらおう。「発見した!」と思わせれば勝ちだ。発見させやすくする仕組みをどうにかしてつくる。
これがid:kei-s:20061023で言ってたやりたいことです。

*1:スケールフリーに関してはkeyword:スケールフリーネットワークid:kei-s:20050529:1117390417で取り上げた本が良いです。この日記で最初の書評。

*2:もちろんこれらをある程度適切に処理しないと一つ目をどんなに頑張っても意味が無いのだけど。

*3:綺麗過ぎて苦手だ。